生え抜き大学職員日記

日々の中でふと思ったことを書いていきます。

読書記録:鬼談(京極夏彦)

数か月前になりますが、『鬼談』(京極夏彦、角川文庫)を読みました。ここまでの「談」シリーズとは違い、ホラー要素は少なく、文学的?というか芸術的?な作品が多い短編集だと感じました。

ネットでの著者インタビュー記事で見かけたのですが、「鬼」とは本来、存在しないことを表す言葉なのだそうです。たしかにそう考えると収録されている作品では、明確な鬼は出てこないし、作中の不思議な出来事に理由や説明もない点にも納得しました。

京極作品では、これまでも「鬼」について登場人物による解説や、主人公を「鬼」とされた人物にしたりと、度々鬼をテーマにしていますが、それほど概念としての鬼というのは幅が広く、表現しがいのあるものなのだろうなと思いました。