『積み木シンドローム』(森博嗣、講談社文庫)を読みました。実際に読んだのは8月なのですが、遅くなってしまいました。
森博嗣さんが年に一冊出しているエッセイ「クリームシリーズ」の2022年分です。このシリーズは軽く読めてほっこりするので好きです。
見開き(2ページ)のショートエッセイがたくさん収録されているのですが、短くても世の中の物事を視点を切り替えて考える、内容が濃いものが多く、一冊読むと著者の考え方がよくわかると思います。近年のクリームシリーズは、真面目なエッセイの中にちょっとふざけたエッセイもあり、そこがまた楽しいところです。
本作で1番印象に残っているのは、「人間は自分が望む状況に近づく」というものです。よく「⚪︎⚪︎だから××できない」と人は言いますが、その阻害要因(⚪︎⚪︎)が排除されたら本当に××するのか?というのは疑問だという内容だったと思います。
たしかに、人間は自分に甘いもので、本当に××というものをしなくてはならないと危機迫って考えているなら、どうにかして遂行しようとするものです。それをしないということは、しないままの状態でも良いと、意識的であれ無意識的であれ判断しているということなのでしょうね。この視点は著者の他のエッセイでも度々書かれており、読む度に納得します。
それにしても、今回も表紙の絵がかわいかったです(笑)