生え抜き大学職員日記

日々の中でふと思ったことを書いていきます。

読書記録:旧談(京極夏彦)

『旧談』(京極夏彦、角川文庫)を読みました。

本書は江戸時代の旗本、根岸鎮衛の随筆『耳嚢』から、いくつか話を著者が選び、それを現代風の小説にアレンジしたものです。

各話の最後には『耳嚢』の原文も掲載されており、小説との対比をしながら読むことができます。

著者は『耳嚢』から、よく考えるとちょっと不思議・怖い話をピックアップしているそうです。個人的には、「プライド」(義は命より重き事)が衝撃的でした。武士って大変だなあ…と。

一話一話がとても短い(大体2-3ページ)ので、サクサク読めました。でも原文を読むと、江戸時代の文章はやはり現代人の私たちにはわかりにくいですね…。

私も学生時代に江戸時代の歴史を専攻していたのでなんとなく覚えているのですが、この時代の文章は口語風なので一文がとても長いし、主語がコロコロ切り替わるしで、読解に苦労したものです(それでも中世以前より文章は平易なので楽な方とよく言われました)。これをアレンジするのは大変だったろうなと思います。