生え抜き大学職員日記

日々の中でふと思ったことを書いていきます。

読書記録:遠野物語拾遺retold(京極夏彦×柳田國男)

以前読んだ遠野物語の続きで、『遠野物語拾遺retold(京極夏彦×柳田國男、角川文庫)』を読みました。

この作品は、『遠野物語remix』と同様に、昭和10(1935)年の『遠野物語拾遺(柳田國男)』を京極夏彦さんが文体・順序等を調整したものです。

前作remixと同じく、非常に読みやすくなっており、内容もボリュームアップしています。remix(遠野物語)では、お化けや神様の話が多かった印象ですが、拾遺には原因不明の怪異も多く収録されている気がします。

個人的に面白いと思ったのは、子供達と遊びたがる仏像の話です。仏像で遊ぶ子供達を大人が神仏を大切にしなさいと注意してやめさせると、「子供と遊びたかったのに余計なことをするな」とその大人の方に罰が当たるという話です。

普通は神仏を大切にすることで褒められそうなものですが、逆なんですね。その他にも踊りたいと暴れる権現様など、なんとも人間臭い神様達が登場します。

日本には八百万の神様がいるなんてよく言いますが、神様によってご機嫌のポイントが違うものなんですね。ということは、当時の遠野の人々は関わる神様全ての性質をよく知っていないとうまく生活していけなかったということで、それもそれで神経を遣いそうだなあ…なんて私なんかは想像してしまいます。

それにしても、遠野物語を読むと、柳田國男を魅了した遠野という地に一度でいいから行ってみたいなあと思います。今風に言えば「聖地巡礼」なのかもしれませんが、遠野物語は明治に刊行されて長い時間が経っていますから、きっとこれまでも同じ気持ちを抱いた多くの人が訪れたんだろうなと思います。